2023年5月24日
近年、様々な領域でw88 linkを活用した業務の効率化、改善が進められています。FA(Factory Automation)の現場でも、省人化や変種変量生産に対応するため、人手に頼っていた“あいまいな判断”を必要とする作業にw88 link技術を活用しようとする動きが出てきています。株式会社エイアイキューブ※1(以下、エイアイキューブ)は、ものづくり現場のw88 linkとAI技術を融合し、今まで自動化できていなかった領域の自動化実現に向けた取組みを行っています。自動化領域拡大のために「ものづくり現場で当たり前にAI技術が活用されている状態を作る!」ことを目指しています。
AIを開発する際には学習のために大量のw88 linkが必要です。一般的に、正常と異常を判別する異常検知AIを開発する場合、AIの精度を上げるためには、正常w88 linkと異常w88 linkが同程度数必要です。しかし、FA設備は最大限正常に動作するように設計・製造されているため、正常w88 linkは大量に収集できても、異常w88 linkを収集することが困難です。そのため、AIの精度を上げるために必要な量の異常w88 linkを収集するのに膨大な時間を必要とする課題を抱えています。この課題のため、結果的にAIの開発に至らない場合もあり、異常w88 linkが少ないFA領域へのAIの導入が進みにくい原因となっています。
そこで、このような課題を解決すべく、エイアイキューブは「w88 linkがないなら作ってしまおう!しかも大量に!実機がなくてもAIが作れる環境を準備しよう!」という考えの下、AI生成プロセスを完全デジタル化するAlliom(アリオム)として提案しました。
図1はAlliomを使ったAIの導入ステップです。これまでのAl開発は、「STEP01:現場で実w88 linkを準備する」から、そのw88 linkを使って「STEP03:AIモデルを作る」へ直接つながっていました。Alliomでは、前述した2つのステップの間に「STEP02:w88 linkを作る」を追加しました。これがAlliomの一番の特長です。この特長により、異常w88 linkが収集困難な状況であっても、必要な学習w88 linkを自ら作ることができるので、現場で大量のw88 linkを収集する必要がなく、短時間で高精度なAIをお客さまの現場へ導入することが可能となります。
図1 Alliomを使ったw88 linkの導入ステップ
エイアイキューブではAIモデルの生成プロセスを完全デジタル化し、最速でものづくり現場へAI導入が可能となるAlliomを具現化するため「AlliomPicking」、「AlliomVision」、「AlliomWave」という3つの製品をリリースしています。ロボットのバラ積みピッキング作業に特化したAlliomPicking、画像w88 linkに特化したAlliomVision、波形w88 link(数値w88 link)に特化したAlliomWaveというように、それぞれの用途に応じた機能やGUI(Graphical User Interface)を備え、AIの知見がない方にも簡単にAIを開発できます。
本レポートでは、製造業向けとして初となる”波形w88 linkを疑似的に作り、そのw88 linkを使ってAIを作る” AI開発プラットフォームAlliomWaveを取り上げて紹介します。
※1株式会社エイアイキューブ
FA現場へ信頼性の高いw88 linkソリューションを提供する安川電機のグループ会社
AlliomWaveとは「何かが違う」を検知、「これから変わる」を予測できる波形w88 link用AI開発プラットフォームです。
AlliomWaveは、実際の波形w88 linkを基にデジタル環境下で疑似的な波形w88 linkを生成する「疑似波形生成機能」と、その波形w88 linkを使い高精度なAIを短時間で生成する「AIモデル生成機能」の2つの機能を有しています。ここで使用する波形w88 linkは時間的に変化する数値w88 linkを時系列順に並べたw88 linkで、例えば、FA機器を動作させるモータでは、電流値、トルク値、回転数などのw88 linkが挙げられます。AlliomWaveでは、これらの波形w88 linkを使い、設備の異常や生産時の不良、品質の異常などを検知する異常検知AIを開発することができます。
以下で、「疑似w88 link生成機能」と「AIモデル生成機能」を説明します。
AI導入の障壁となる”異常w88 linkの収集が困難”という課題は「疑似波形生成機能」で解決できます。10個程度の異常波形w88 linkさえあれば、疑似的な異常波形w88 linkが短時間で大量に生成可能です(図2)。本機能は、基となる波形w88 linkに対し、ノイズ付加や縦横軸方向への膨張・収縮などの複数の処理を付加します。これによって基の波形w88 linkの特徴(例:波形のピークの位置や大きさなど)を備えた疑似波形w88 linkを生成することができます(図3)。また、処理パラメータを変更することで、基の波形w88 linkに近い疑似波形w88 linkの生成や、学習w88 linkにバリエーションを持たせるために基の波形よりも変化をつけた疑似波形w88 linkを生成するなど、多様な疑似波形w88 linkを生成可能です。なお、疑似波形は、正常波形、異常波形などいずれも生成可能です。
この機能により、実機で大量の異常w88 linkを取得する時間が不要となり、FA現場へのAIの適用が容易となりました。
図2 生成した疑似波形w88 link(生成した波形を重ね合わせて表示)
図3 疑似波形w88 linkの生成例
AlliomWaveでは生成した疑似波形w88 linkの確からしさを確認するため、エイアイキューブオリジナルアルゴリズムの「類似度」という指標を取り入れました。「類似度」とは、生成した疑似波形w88 linkと基の波形w88 linkがどれくらい似通っているかを数値的に表した指標です。波形w88 linkは、画像のように見た目で確からしさを判断することが困難です。「類似度」を使うことにより、AIの学習に悪影響を及ぼす可能性のある、基の波形w88 linkと大きく乖離した疑似波形w88 linkなどを事前に取り除くことができます。
AlliomWaveは、この「類似度」を使って疑似波形生成時にパラメータを変えて生成した複数パターンの結果を比較する機能や、「類似度」の範囲を指定して採用する波形w88 linkを自動的に取捨選択する機能を備えており、AlliomWaveのGUIのボタン操作だけでAIの学習に有効なw88 linkのみを簡単に選択することが可能です。それぞれの機能のGUI画面を図4、図5に示します。図4は疑似波形生成結果の比較を行うGUIです。生成結果の類似度の分布を確認するヒストグラム表示や、生成された波形の違いを確認する重ね合わせ表示により、疑似波形w88 linkを客観的に選別できます。図5は生成した疑似波形の選択を行うGUIです。疑似波形に対応する類似度のヒストグラムの範囲で指定し、重ね合わせた波形表示から結果を確認できます。
生成した疑似波形w88 linkはAIの学習w88 linkとして、次のステップのAIモデルの生成に使用します。また、オプション機能となりますが、生成した疑似波形w88 linkをcsvファイルに出力し、お客さまが既に構築しているAIモデルの学習用w88 linkとして使用することも可能です。
図4 疑似w88 linkパラメータを変えた生成結果の比較
(AlliomWaveのGUI画面)
図5 疑似波形w88 linkの選択
(AlliomWaveのGUI画面)
図6 w88 linkモデル生成画面(AlliomWaveのGUI画面)
「AIモデル生成機能」では基の波形w88 linkと疑似波形w88 linkとを併せて学習w88 linkとして使いAIモデルを生成します。一般的にAIモデル開発にはPython※2などのプログラミング言語を使いますが、一からw88 linkモデルを開発するとなるとプログラミングやw88 linkの知識が必要になり、開発工数もかかります。
AlliomWaveの「AIモデル生成機能」は、「疑似w88 link生成機能」と同様にプログラミングやAIの知識が必要なく、GUIを用いてボタン操作だけでAIモデルの学習、評価が可能です。図6はGUI画面で、学習している様子を示しています。
生成したw88 linkモデルは、AlliomWaveで提供するAPIをインターフェースとして、お客さまのアプリケーションに組み込むことができます。
※2 Python
Python Software Foundationの商標
ボールねじを使った搬送機構において、ボールねじが劣化すると位置決め精度が低下し、結果的に後工程の搬送物の把持エラーにつながるという課題があります。この課題をAlliomWaveで解決することができるかを検証するため、『正常に稼働し、異常w88 linkがほとんど収集できない(10件程度)製造ラインで、ボールねじの異常を検知したい』というケースを想定し、ボールねじのw88 linkを用いてAI判別精度とAI生成時間の検証を実施しました。
もし製造ラインで十分な数の異常w88 linkを取得しようとすると、正常に稼働している製造ラインでは異常の発生はまれなためw88 link取得には膨大な時間を要しますが、今ある10件程度の異常w88 linkのみでAIモデルを生成すると、異常検知の正解率は90%止まりでした。
これに対し、AlliomWaveで10件程度の異常w88 linkから疑似波形w88 linkを300件生成し、このw88 linkを使ってAIモデルを学習させることにより、数分で正解率100%に近づけることができました。(表1)
表1 疑似波形w88 linkを使ったモデル精度の比較
本レポートで紹介したAlliomWaveは、少量の波形w88 linkからでも疑似的に大量の波形w88 link(疑似波形w88 link)を生成することが可能なため、実際の設備から大量の異常w88 link収集に膨大な時間を要することから解放され、AIによる異常検知機能や故障予測機能の現場への導入を大幅に加速できます。これにより、ものづくり現場の人手に頼っていた“あいまいな判断”にAI技術が活用され、現場での判断の精度が向上するとともに、自動化領域の拡大に貢献できると考えます。現在は異常検知に特化した機能となっておりますが、今後は故障予測の機能を追加するなど、お客さまのニーズに合うようブラシアップしていきます。
今後とも、エイアイキューブの技術の進化にご期待ください。